閃光のハサウェイを100倍楽しむ豆知識&注目ポイント!【劇場版】

新型コロナ禍のため公開が延期されたものの、いよいよ2021年公開が決定した「劇場版 閃光のハサウェイ」。

待ちきれない気持ちがミノスフキークラフトで音速飛行しそうなので、発散がてら原作小説から閃光のハサウェイの豆知識&注目ポイントをばまとめました。

閃光のハサウェイのネタバレはないつもりですが、作品の内容や登場人物、登場モビルスーツに触れるため、多少なりとも作中の情報に触れます。また、逆襲のシャアのネタバレが含まれます。ネタバレ忌避勢はご留意ください。

どの面さげてハサウェイ

全ガンダムファンがもっとも注目(私比)しているのは、ハサウェイがどの面下げて生きているかって話。

逆襲のシャア劇中、ハサウェイは盗み出したジェガンで無断出撃したうえ、リ・ガズィを撃墜しチェーミンを殺害。

それがどう許されてのうのうとスクリーンで主人公はってるんだ、って話です。他が許してもブライトが許すとは思えない。

ラー・カイラムに降り立った瞬間、実の父親に射殺されていてもおかしくはないレベルでやらかしているんです。

原作小説の方ではその辺り、ちゃんと理由付けもなされているんですが……

原作は逆襲のシャアの続編ではない

実は、閃光のハサウェイの原作小説は映画逆襲のシャアの続編ではないのです。

閃光のハサウェイは逆襲のシャアの小説版 ベルトーチカ・チルドレンの続編

ベルトーチカ・チルドレンも大筋では劇場版 逆襲のシャア同じ流れですが、ハサウェイ関連で決定的な違いが。

α・アジールを撃墜し、クェスを殺すのがハサウェイなのです。

しかもベルトーチカ・チルドレンでのハサウェイは味方を殺していません。ハサウェイなのにクソ野郎じゃない。キレイなクソ野郎間違えた綺麗なハサウェイなんです。

α・アジール撃破の戦果により、ジェガンの奪取や無断出撃などハサウェイの罪はうやむやに。むしろ、民間人でありながら敵の巨大モビルスーツを撃墜した英雄として扱われ、小説版 閃光のハサウェイではちょっとした有名人になっています。

話は戻りますが、アニメ映画版の閃光のハサウェイはベルトーチカ・チルドレンではなく劇場版 逆襲のシャアの続編。

つまり、映像化されるハサウェイはチェーミンを殺したクソ野郎の方なんですよ。

一応ギラ・ドーガを一機撃墜したとはいえ、明確な意志をもってチェーミンを殺した罪が帳消しになるとは思えません。こんのクソ野郎がどう許されたか。そこにどう整合性を持たせたかもまた、劇場版千九のハサウェイの注目ポイントです。

なかったはずのユニコーンとの絡み

もともと、閃光のハサウェイは1987年に劇場公開された逆襲のシャアの続編として1988年に発表された小説作品です。

(正確には先述のベルトーチカ・チルドレンの続編)

主な宇宙世紀作品で次にくるのはF91で、アムロやシャアが戦った時代の名残はほとんどなし。ミスター宇宙世紀 ブライトさんですら登場しません。そういう意味では、閃光のハサウェイがアムロやシャアが戦った時代の区切りとなる作品といえます。

しかし、その後機動戦士ガンダムUCが発表され、さらに閃光のハサウェイのあとにUC2も制作されることが決まり事情が変わりつつあります。

宇宙世紀年表上で逆襲のシャアがU.C.0093で、閃光のハサウェイで描かれたU.C.0105。UCがその空白を埋めるU.C.0096。

さらに、閃光のハサウェイの次回作となるUC2が閃光のハサウェイの前年、もしくは翌年の出来事になるようなので、きっと何かしらの絡みが発生するのではないでしょうか。アベンジャーズに代表されるMCUシリーズのように絡み合いながら発展したりなんかしたら面白いですね。

閃光のハサウェイ原作小説が発表された1988年当時にUCは存在せず、当然全く絡みもないため、劇場版 閃光のハサウェイ上でもUCとの絡みが全くない可能性はあります。が、劇場版 閃光のハサウェイやUC2など新しい作品群を制作していくと発表されたときの情報によれば、UC2はU.C.0104の出来事を描くこととのこと。

制作発表時に出回った画像では閃光のハサウェイがU.C.0105ではなくU.C.0103ってことになっているのがちょっと謎なのですが、たしか閃光のハサウェイで描かれるマフティー動乱自体はU.C.0103からスタートするので、誤りともいえないっちゃいえない。

そういう意味でUC2がU.C.0104という情報が正しければ、UC2はマフティー動乱が起こっている真っ最中の出来事に。少なくともUC2上ではマフティー動乱の影響がありそうです。

戦わないヒロインと戦わない敵

閃光のハサウェイユニークなのが、戦わないヒロイン ギギと戦わない敵 ケネス大佐。

ガンダムの登場人物って、老若男女軍人一般人問わずとにかくモビルスーツに乗りたがる。メカものの宿命ですが、それこそ初代ガンダムのセイラさんから、UCで登場した袖付きの総帥フルフロンタルまで。

閃光のハサウェイのヒロイン ギギと敵として登場するケネス大佐はこれらとは一線を画して、モビルスーツに乗りません。

モビルスーツでどんぱちすることなく、ギギは純粋にヒロインとして主人公ハサウェイの心をかき乱してくれるし、ケネス大佐は連邦軍のくせに超優秀な指揮官として戦略・戦術面でハサウェイと対峙します。

ケネスも魅力的なキャラクターですけど、ギギがいい味出してるんですよね。戦わないヒロインとして小悪魔的で男慣れしてるくせに、ハサウェイとケネスの間で揺れ動く純粋な乙女心。

その点、苛烈で思い込んだら一直線なクェスとの対比も面白い。

とりあえずハサウェイはもうちょっとシャイを治した方がいいと思う。

宇宙世紀初、ミノフスキークラフト搭載機による空中戦

劇場版 閃光のハサウェイで見逃せないのが、宇宙世紀で初めて大気圏内・重力下で行われる音速を超えたモビルスーツ空中戦です。ええいハサウェイはいい、ガンダムを映せ!

というのも、閃光のハサウェイで登場するΞガンダムとペーネロペー(オデュッセウスガンダム)こそ、宇宙世紀で初めて重力下での自由飛行と音速飛行を可能にしたモビルスーツなのです。

それもこれもミノフスキークラフトとビームバリアのおかげ。

閃光のハサウェイ以前のモビルスーツはジャンプして着地までの間に撃ち合うのが精いっぱいでした。Zガンダムやバイアランですら特殊構造と大推力にものを言わせていただけで、音速。

その点、ミノフスキークラフトの仕組み上高度の限度があるとはいえ、モビルスーツでありながら大気圏内で音速飛行可能なΞガンダムやペーネロペー・オデュッセウスガンダムの優位性は絶対的なものでした。

宇宙世紀初の音速越えのハイスピードなモビルスーツ戦が劇場版としてどう描かれるのか、これは楽しみにせずにはいられませんね。

なお、両機ともにサイコミュ機ではあるものの、従来のファンネルは重力下で性能を発揮できません。そのため、Ξガンダムもペーネロペーもビーム砲型のファンネルではなく、敵に体当たりして爆発するファンネルミサイルを搭載。

要はサイコミュで操れるミサイルですね。本来ミノフスキー粒子の影響で高度な追尾ができないはずのでミサイルを、ファンネルと同じ原理で動かして敵を追尾させたってわけです。すごく実用的。

ミノフスキークラフト自体は一年戦争の時代に実用化された技術。空力的に浮きそうないホワイトベースが大気圏内を飛び回っていたのもその一例です。

モビルスーツはサイズの問題で搭載されてきませんでしたが、閃光のハサウェイの時代にいたりでようやくミノフスキークラフトを搭載できたのです。技術の進歩といいつつ、Ξガンダムは全長約30mもある巨大モビルスーツ。単にデカい! 強い! パワー! な気も。

参考までに初代ガンダムが18mでΞガンダムが28m、サイコガンダムが40m(MA時で約30m)なので、大きさとしては普通のモビルスーツとサイコガンダムの間ぐらい。閃光のハサウェイの時代でもこれぐらいの大きさがないとミノフスキークラフトとビームバリアを搭載することはできなかったのです。

原作ではガンダムじゃないペーネロペー

閃光のハサウェイでは登場するガンダムの一機が、オデュッセウスガンダム、別名ペーネロペーです。

が、この機体、原作小説ではガンダムではなく「ガンダムの名残りを残す」別タイプのモビルスーツ「ペーネロペー」として描かれています。オデュッセウスガンダムは名前すら登場しません。

ペーネロペーは設計上ビームバリアの形成が完全ではなく、音速飛行時には外装を一部動かしてフライトフォームと呼ばれる状態に変形が必要でした。

それが2000年頃、ゲームはグッズで登場する際に「ペーネロペーとは素体のモビルスーツに外装を取り付けた状態、フライトフォームそのものの呼称」と設定されました。

その素体がオデュッセウスガンダムってわけです。0083 スターダスト・メモリーで登場したGP03に例えて、オデュッセウスガンダム=ステイメン、ペーネロペー=デンドロビウム(オーキス)と考えればわかりやすいかも。

ちなみに、原作小説でもペーネロペーが外装の一部をパージしてモビルスーツとしての運動性を上げる描写があったので、あながちめちゃくちゃな設定改変ともいえません。

神話上のペーネロペーとオデュッセウスの親和性も高いですし。

ガンダム随一の哀しみ深く壮絶なラスト

ネタバレなので具体的には書けませんが、壮絶な最後もまた閃光のハサウェイの見どころ。

物語の結末に主人公であるハサウェイが深く関わるのは当然として、問題は閃光のハサウェイにブライトさんが登場すること。

いやな予感しかしませんねえ。

率直なところ、逆襲のシャアでやらかしてくれたハサウェイがどうなろうとざまあ見ろぐらいしか思わないんですけどね。

苦労ばっかりさせて、富野監督はブライトさんにいったいなんの恨みがあるんだ!

ガンダム作品に出てくる親子関係って大抵ロクな結末にならないんですよ。

アムロとテム・レイ父子、ギレンとデギン・ザビ父子、クェスとアデナウアー・パラヤ父娘、カミーユとヒルダ・ビダン母子、ウッソ・エヴィンとミューラ・ミゲル毋子。

酸素欠乏症による障害、目の前で惨殺、親殺し……イヤな予感しかしませんねえ。

ファンの間でもVガンダムの凄惨は語り草ですが、閃光のハサウェイのラストはVガンダムに負けず劣らず。

ブライトさんの声にも注目!

閃光のハサウェイではブライトさんの声にも注目したいところ。

実はブライト・ノアの声を務めた初代声優 鈴置洋孝さんは2006年に逝去されています。長寿シリーズなだけあって、ガンダム声優さんも亡くなった方が多い。悲しいことですが……

しかし、新しい風も忘れてはいけません。ブライトさんの声は成田剣さんが引き継いでいます。大抵、声優の交代には批評がつきものですが、ガンダムUC EP4の時点で初披露された演技はすばらしいもので、ガンダムファンの間でも非常に好評。こうした時は「賛否両論あるが〜」が

恥ずかしながら私はUCを見た当初あまりの違和感のなさに、別人が声を当てていたと全く気づきませんでした。鈴置さんが亡くなったことは知っていたはずなのに、です。なにやってんのォ!

今後、成田剣さんが閃光のハサウェイでどのようなブライトさんを演じてくださるのか。これは楽しみに待ちましょう。

まとめ:閃光のハサウェイを100倍楽しむ注目ポイント&豆知識!

  • 逆襲のシャアでやらかしたハサウェイの罪はどう許される?
  • 閃光のハサウェイの原作小説は劇場版 逆襲のシャアではなく、小説ベルトーチカ・チルドレンの続編
  • 原作ではなかったはずのUCとの絡みがあるかも!
  • 珍しくモビルスーツに乗らない正統派ヒロインと敵指揮官
  • ミノフスキークラフト&ビームバリアによる宇宙世紀初のモビルスーツによる音速飛行戦闘!
  • 原作小説ではガンダムじゃないペーネロペー