ゲルドルバ照準の意味とザビ家の謀略

機動戦士ガンダムシリーズで登場し、のちにはUC時代まで登場することとなるコロニーレーザー砲。

初代であるジオン軍のソーラ・レイを放つ際の「ゲルドルバ照準」って言葉、平均的な日本人が週に2、3回は聞く言葉なのに、実のところ意味はよくわかってない方が多いようです。ずんどこベロンチョ。

なので、今回はゲルドルバ照準の意味を解説。

ゲルドルバ照準=ゲルドルバ線を狙う照準

ゲルドルバってなんぞや?

ゲルドルバ照準とは、ソロモンとア・バオア・クーを結ぶ直線のゲルドルバ線を狙う照準を意味します。

ゲルドルバ線と書いてゲルドルバラインと呼びます。ちなみに英語だとGaldorva Lineと書くらしい。

ただの造語で、特に意味のある言葉でもなく、グラナダのように実際にある地名などでもありません。

漫画版THE ORIGIN作中、ソロモン攻略後、次の作戦目標を定める連邦軍艦隊の星一号作戦のブリーフィングシーンで触れられています。

(私の記憶だとアニメとか設定系の書籍ではあまり触れられていないように思う)

ギレン「ゲルドルバ照準とはゲルドルバラインを狙う照準なのだ」
(ワガグンハアットウテキジャナイカワッハッハー)

なんて直接的な表現がされたわけではないですが、普通に考えてゲルドルバ照準=ゲルドルバラインを狙う照準とわかります。

新訳ファーストガンダムともいえるTHE ORIGINと、アニメ 初代機動戦士ガンダムとではいくつか設定の違いがあり、THE ORIGINが宇宙世紀の正史かと言われると微妙なところ。

どちらかといえばサンダーボルトと同様のほぼ宇宙世紀だけど設定的にはパラレルな世界観と考えた方がよさそう。

しかしゲルドルバラインに関してはアニメ版のファーストガンダムと特に設定に矛盾しないので、正史設定と考えて問題ない。はずはず。

ゲルドルバ以外にも照準はあった?

THE ORIGINでもアニメ版ファーストガンダムでもゲルドルバ照準しか使われなかったので実際のところは不明。

ですが、ほかにもゲルドルバ照準以外にも照準候補はあったと考えてよさげ。

特にTHE ORIGINではア・バオア・クー戦に向かう両軍の動きがより詳細に描かれていて、そもそも連邦軍の星一号作戦はア・バオア・クーではなくサイド3のジオン本国へ直接侵攻するものでした。

ドズル兄貴の奮戦でティアンム中将を失い痛手を被った連邦軍は、「ア・バオア・クーまで落とす余裕はないから本丸を潰しに行こう」って考えたのです。

ギレンも「最初に無視したグラナダは除外して、連邦軍の選択肢はサイド3かア・バオア・クーのどちらかを攻めるだろう」と予想しています。

であれば当然、連邦艦隊がサイド3に向かった場合にソーラ・レイを向けるべき照準も設定されていたことでしょう。

結局はデギンとレビルが講和の場をゲルドルバライン上に設けたために、ゲルドルバ照準が使われることとなりましたが。

余談1:どの口が言うキシリアの策謀

こうして連邦軍主力艦隊とともに、目の上のたんこぶだったデギンを消し去ったギレン。

のちにア・バオア・クーで妹キシリアに父殺しとして断罪されるわけですが、これがとんでもないハナシで。

THE ORIGINでは講和を望んでいたデギンをゲルドルバライン上に誘導したのもキシリア、ギレンに「デギンはゲルドルバライン上の連邦軍艦隊に向かった」と告げ口したのもキシリアなのです。

それでいてTHE ORIGINでもキシリアはアニメ版ファーストガンダムと同様、「父殺しは許されないギルティ」とギレンを射殺するんだからたちが悪い。

アニメ版のキシリアはまったく知らなかった素振りなので、その点THE ORIGINのキシリアは本当に極悪人。頭にバズーカ撃ち込まれても文句は言えない。

余談2:実は超ピンチだった連邦軍

THE ORIGINではア・バオア・クー戦はピンチに追い込まれた連邦軍による窮鼠猫噛み的な、敗色濃厚な戦いでした。

アニメ版ではオデッサからこっち連邦軍の連戦連勝だし、ソーラー・レイで艦隊が消し飛んだぐらいじゃ連邦軍優勢は覆らない印象です。

が、THE ORIGINでは実はそうでもなかった、と新たな解釈が入っています。

先述の通り連邦軍の主目標はジオン本国 サイド3。

本来の星一号作戦では主力艦隊はサイド3へ向けて転進し、ホワイトベースを含むワッケインの艦隊がア・バオア・クーのジオン軍を足止めする予定でした。

しかし、作中描かれた通りソーラ・レイにによって総大将レビルを含む連邦軍の主力艦隊が消し飛ぶ大惨事。ただでさえ余裕のなかった連邦軍の戦力はガタガタです。

そこで、別働隊として構えていたホワイトベース隊ふくむワッケイン艦隊はジオン本国攻略を諦め、捨て身の覚悟でア・バオア・クー攻略を決定します。

とはいえ主力艦隊が消滅し、総大将も戦死した状況。さらにはグラナダからきたキシリア艦隊に挟み撃ちにされ、連邦軍は終始圧倒されています。

ギレンの「我が軍は圧倒的ではないか」は誇張でもなんでもなく、言葉通り圧倒的だったのです。

なのに、そんな状況でギレンを射殺するキシリアさん。天才的な頭脳で指揮を執っていた総大将の死もあり混乱するジオン軍。

さらにザビ家最後の人間のくせに、バズーカ弾にヘディングかましてちーん。脱出にも失敗です。

戦力的にはジオンもまだまだ巻き返し可能だったでしょうが、ジオン公国は実質ザビ家の国。どんなに戦力的に優位でも、ザビ家の者が一人もいないのでは戦争どころではありません。

そうやって薄氷の勝利を拾ったのが、THE ORIGINの連邦軍なのです。

実は漫画THE ORIGINのア・バオア・クー戦ではもう一点、アニメ版とは大きく違う部分があります。

それがセイラさん、本名アルテイシア・ソム・ダイクンの活躍。

ネタバレになるので詳しくは書きませんが、アルテイシアの活躍がギレンの死にすら匹敵する勝因になったといっても過言ではありません。

その辺り気になる方は、ぜひ漫画THE ORIGINをご一読ください。ちなみに、アニメ映画版のTHE ORIGINは漫画版THE ORIGINを原作にしてはいますが、ファーストガンダム本編の前日譚にあたるルウム戦役までしか描かれていません。

(なお、映画 ククルス・ドアンの島はORIGIN時空でのお話。逆にORIGINにもないエピソードだけど)