逆襲のシャアの原点にして小説版閃光のハサウェイの前作にあたるベルトーチカ・チルドレンにおいて、シャアが搭乗する重モビルスーツ ナイチンゲール。
めちゃくちゃかっこいいナイチンゲールですけど、そこに痛々しいノースリーブグラサンだった頃のシャアのトラウマが見えました。
そもそもナイチンゲールって
ナイチンゲールは逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレンでシャアが搭乗した機体。
ベルトーチカ・チルドレンは逆襲のシャアの小説版、もしくは原作ともいえる作品で、サザビーは出てきません。その代わりがナイチンゲールです。
(正確には却下された劇場版 逆襲のシャアの初稿脚本を小説化したのがベルトーチカ・チルドレン)
基本的なストーリーラインや登場人物は劇場版 逆襲のシャアと同じベルトーチカ・チルドレンですが、サザビーとナイチンゲールは似てもにつきません。
甲冑を来た武士ってイメージの人型モビルスーツであるサザビーに対し、ナイチンゲールは前後に長く、どちらかといえば人型よりもMAに近い巨体を持つ重モビルスーツなのです。
禍々しいシルエットはどちらかといえばエウレカセブンのジ・エンドの方が近いデザインコンセプトにすら思える。
サザビーのジェネレーター出力が3,960kW、全備重量71.2tに対し、ナイチンゲールは6,760kW&105.7tとどちらも1.5倍ほど。さすが重モビルスーツ。
ちなみにνガンダムのジェネレーター出力は2,980kW。もともとサザビーの時点で上回っていたわけですが、ナイチンゲールはνガンダムの2倍以上にもいたります。
よく勝ったなアムロ、といいたいところですが、実際逆襲のシャアとは違って、ベルトーチカ・チルドレン作中でのモビルスーツ勝負ではシャアが勝っていたんですよね……
(スペックデータは機動戦士ガンダム新訳MS大全集 U.C.0092-0169編より。ベルトーチカ・チルドレンでアムロが搭乗したHi-νガンダムのスペックは公式に公開情報がないのでνガンダムで比較)
Z時代のトラウマの産物
で、シャアがシャアらしからぬ重モビルスーツ ナイチンゲールを選んだのは「Zガンダム時代に受けたトラウマ」が原因ではないか、と。
Zガンダム時代の愛機 百式は「金ピカで派手」「高機動・紙装甲」と、シャアにとって相性ピッタリな機体でした。
しかし悲しいかな、Zガンダム終盤で相手したシロッコの駆るジ・OはZガンダムのラスボス。ハマーンの駆るキュベレイはZZガンダムのラスボス。
「そんなモビルスーツwww」の百式単機で太刀打ちできる相手ではありません。
しかもただコロニーレーザーの基部を守らないといけないので逃げるわけにもいかない。すでに内部に侵入された状態で。さすがに無理ゲーじゃね?
「まだだ、まだ終わらんよ」とか強がっても、逆に内なるロリシャアの「あぅあぅ、もうすぐおわっちゃうよぉ」にしか聞こえないレベルの絶望感漂う状況に、結局シャアは一旦百式から降りて劇場へ逃げるしかなかった。
シロッコが「キャッキャウフフ」と蚊トンボを追いかけるタイプの不思議ちゃんでよかったけど、あそこでコロニーレーザー破壊されてたらエゥーゴ終わってたよね。
サザビーはシャア好みの機体として理解できます。シャアが大好きな格闘戦・白兵戦もしやすいスタンダードな人型タイプで高機動・高スペック。ある意味、ザクやゲルググのようなふっつーのモビルスーツです。
対してナイチンゲールはあまりシャアらしからぬ機体に思えます。各所に搭載したスラスターで機動性は高いと思われますが、下半身デカすぎてシャアの大好きな格闘戦・白兵戦はしにくそう。
実際その辺りを考慮してか、前側のスカート裏にはビームサーベルを持てる隠し腕が装備されています。
そして自分専用のモビルスーツをジ・O+キュベレイに
Z時代の反省の結果生まれたのがしゃあのかんがえたさいきょうのもびるすーつ、ナイチンゲール。
ジ・Oとキュベレイ、二大ラスボスの相手をして死ぬほど怖い想いをし、九死に一生を得てたどり着いた結論こそ、
「ジ・O+キュベレイ=超つよい!」
だったのです。あとノースリーブ&グラサンはさすがに痛々しいと気づいたのかやめたみたい。よかったよかった。
もちろん私の妄想なんですが、考えれば考えるほどそうなんです。
ジ・Oのコンセプトは動けるデブ。重モビルスーツとしての圧倒的なパワーを利用しつつも、被弾しやすい巨体の弱点は前身に仕込んだスラスターで機動性を確保し、パイロット本人の技量によって「当たらなければどうということはない」というコンセプトです。
デカすぎる下半身のために格闘・白兵戦がしづらい弱点は下半身に仕込んだ隠し腕にビームサーベルを持たせることでカバー。
一方、キュベレイはオールレンジ攻撃が可能な強力な武装ファンネルを持ち、肩バインダーによる推進&AMBAC機動による運動性を持つ機体。
ナイチンゲールってジ・Oやキュベレイの特徴を見事なまでに全て取り込んでいるんですよね。
特に隠し腕なんてシャアらしくないと思ってたんですけど、ジ・O のパクリ を参考にしたと思えば不思議はない。
そして最後の戦いへ
で、Z時代のトラウマを満載した「ぼくのかんがえたさいきょうのもびるすーつ」ナイチンゲールで、シャアにとって初代ラスボスでトラウマであるアフロもといアムロに挑むのがベルトーチカ・チルドレンって作品ってわけです。
先にアムロが乗るνガンダムの設計データも見て手のうちも知ったうえで、倍以上のジェネレーター出力をもった重モビルスーツ ナイチンゲールで余裕ぶっこいて
「そんな情けないモビルスーツに乗ったアムロに勝ってもwww うれしくないからwww サイコフレームあげる」
と負けフラグをビンビンに立ててしまう。シロッコに「そんなモビルスーツでwww」といわれたの相当根に持ってますねこの男。
本当に残念なお人ですよ大佐は。
劇場版 逆襲のシャアではサザビーでアムロにボッコボコにされたシャアが、ナイチンゲールで挑んだ結果どうだったかはぜひベルトーチカ・チルドレンでお楽しみください。いまは小説版だけじゃなくてコミック版も出てますし。