オールレンジ攻撃がカッコいいファンネル・ビット。
いろいろなガンダム作品で登場していますけど、ゲームや媒体によって扱いが違うこともあって、地上やコロニー内など重力下で使えるのかわかりにくいところもあるんですよね。
今回は代表的なオールレンジ兵器、ファンネル・ビットなどが地球やコロニー内部など重力下でも使えるかを解説します。
重力下でもファンネルは使える、けれど
結論、ファンネル・ビットは重力下でも使える兵器です。地球上はもちろん、コロニー内でも使うことはできます。
作中でも機動戦士ガンダムZZでプルのキュベレイMk-2が地上でファンネルを使用するなど、重力下で使った例は複数あります。
ただし、使えることとファンネル・ビットの性能を引き出せるかは別問題。
重力下ではファンネルは本来の性能を発揮できないのです。
まず地上やコロニー内部では重力と空気抵抗もあり、飛行するだけでかなりの推力をとられます。機動力の低減はもちろん、推進剤の消費も増えて継戦能力も低下してしまいます。
さらに、サイコミュで遠隔操作するパイロットに余計な負荷がかかる点もデメリットといえます。特に地球上では重力と空気抵抗に加えて風など天候の影響もあり、さらにコントロールが難しくなるでしょう。
ファンネルの形状的に重力下では飛べそうにないもの。ですが、もとよりZガンダムの時代から可変モビルスーツのほとんどは大推力で無理やり飛行している世界。
ファンネルも推力にものを言わせて無理やり飛ばすことは可能でしょう。ただし推進剤の消費が激しいため、小型のファンネルやビットでは長くはもたないと思われます。
もしかしたらパイロットや機体によっては、サイコミュの力が多少なりとも推力の補助になっていたなんてこともあり得るかも。ユニコーンガンダムなんか推進システムないはずのシールド飛ばしていますし。
UCでちゃんと描かれていた
ファンネルを重力下で使用する難しさを描いたのが、機動戦士ガンダムUCの序盤、インダストリアル7内での戦闘シーン。
クシャトリヤがファンネルを使用した際、コロニー中心部近くでは全く問題なく飛行していましたし、正確な射撃で飛行中のジェガンを核爆発させることなく撃墜しています。
一方、地面近くまで降下した際は、ファンネル本体を揺らしながらバーニアを大きく吹かしてようやく浮遊。
しかもこのとき、地面に倒れ込んで身動きの取れないリゼルへのビームが逸れ核融合炉に直撃。当初はコックピットを狙ったものと思われますが、やはり姿勢制御がうまくいかなかったのでしょう。結果、核爆発が起きてコロニーに損傷を与える結果に。重力下で無理にファンネルを使う弊害が引き起こした事故と言えます。
疑似重力の影響が薄いコロニー上空では飛行中のジェガンに対しても正確に射撃し核爆発を防ぐ一方で、地上付近では身動きのとれないリゼル相手に核融合炉を外して当てられない。
それほどまでに、重力下でファンネルを使うのは難しいのです。
あとファンネルとは直接関係ないけど、このときリゼルの核爆発から生徒たちを守って亡くなった聖君バンクロフト先生の存在を忘れてはならない。そしてコロニー内で平気で高出力ビーム兵器をバカスカ撃ちまくった連邦のアホどもを許すな。
このときマリーダがコロニーへの損害を抑えたがっていたのは間違いない事実。その証拠にクシャトリヤが撃墜したジェガンが墜落によって市街地に落ちて被害が起きた際、不快そうな表情を見せています。
たとえ核爆発が抑えられたとしても、仮にもスペースノイドのために戦うと標榜する袖付きのマリーダがコロニーの被害をよしと思うはずはありませんし、ましてミネバやジンネマンがいるコロニー内での戦闘は不本意だったでしょう。
こういう細かい描写や芝居も、UCのみどころですね。
重力下に適したファンネル・ビット
そういうわけでキュベレイやサザビーが持つような一般的なタイプのファンネルは本来の性能を発揮できず、重力下での運用は厳しいと言わざるをえません。
そこで、地球やコロニー内で使うに適したファンネル・ビットも生まれています。
シャンブロのプロペラタイプ リフレクタービット
重力下で利用するファンネル・ビットのひとつとして、UCで登場した巨大モビルアーマー シャンブロのリフレクタービットが挙げられます。もともとリフレクタービットはZZで登場したサイコガンダムMk-2がはじめて使用した兵装。
ただ、宇宙・地上兼用であるサイコガンダムMk-2とは違い、シャンブロは水陸両用の巨大モビルアーマー。つまり地球専用です。
そのため、シャンブロのリフレクタービットも重力下で使う前提でプロペラで浮遊する仕組みです。
機動力はあまり期待できなそうですが、母機の周囲で浮遊が基本なので、機動力の低下よりも重力下での稼働時間を重視すれば、プロペラの方が合理的といえます。そもそもシャンブロが機動力皆無ですし。
合理的といえば、リフレクタービットは敵のビーム攻撃を防ぐことができる点も大きなメリット。もともとIフィールドはビームバリアとして開発されたものですから。一年戦争でビグ・ザムが使ってましたよね。やらせはせん、やらせはせんぞ!
その点、シャンブロがリフレクタービットがビーム砲ではなく攻防一体のIフィールドを搭載したのって、かなり合理的な選択だと思います。
リフレクタービットはIフィールドを展開するので、母機のビームを反射するだけでなく、敵のビーム攻撃を防ぐことも可能。その点、機動力がなくともリフレクタービット自身が撃墜される心配は少ないといえます。
同時に巨体ゆえに地上の機動力皆無のシャンブロを守りつつ、巨体ゆえにパワフルなシャンブロのメガ粒子を反射することで火力を活かすこともできます。
Iフィールドには実弾などビーム以外の攻撃は防げない弱点もありますが、Zガンダムの時点ですでにモビルスーツの主兵装はビーム主体。動かしづらい宇宙用ファンネルを無理やり使うよりは全然マシでしょう。
飛ばぬなら ぶつけてしまえ ファンネルミサイル(字余り)
また、サイコミュによって遠隔操作できるミサイル、ファンネル・ミサイルも重力下で使えるファンネル・ビットのひとつ。
ファンネルが使いづらいならぶつければいいじゃない、なんて脳筋的な発想で生まれました。パンがないならお菓子を食べればいいじゃない的な。うわぁやめろなぜ私がギロチンにかけられなきゃいけないんだぁ!
初出は閃光のハサウェイに登場するΞガンダムとペーネロペー・オデュッセウスガンダム。といっても以後、ファンネル・ミサイル見かけませんけれど。
先述の通り、重力下でのファンネルは性能を十分に発揮しづらく、特にビーム命中率と継戦能力の低下はオールレンジ兵器としてかなり致命的です。
その点、ミサイルなら的に向けて飛ばせばいいので照準も比較的楽ですし、ぶつかるまで飛べばいいので継戦能力はそもそも不要。
遠隔操作できるファンネルの長所を伸ばし、継戦が苦手な短所は切り捨てる。合理的な選択ですね。むしろなぜいままでやらなかった。
本来、宇宙世紀世界ではミノフスキー粒子のせいで多くの電子機器が無効化され、無線操作や自動追尾ミサイルが困難な世界観。
その点、サイコミュ兵器はミノフスキー粒子の影響を受けず無線遠隔操作ができる点で画期的でした。レーダー類も無効化されるので、宇宙空間を縦横無尽に駆け巡り思わぬ方向から攻撃してくるファンネルは脅威だったのです。
反面重力下では使いづらい点が問題ではありましたが、シンプルにぶつけて爆破するファンネルミサイルの形に落ち着くことで弱点を克服したのは、ある意味ミノフスキー粒子登場前の原点回帰だったともいえます。
アナザー作品のオールレンジ兵器
ちなみに、無線で遠隔操作できるファンネル的なオールレンジ兵器は非宇宙世紀もの、いわゆるアナザー作品でも登場しています。
例えば機動戦士ガンダムSEEDではドラグーン、機動戦士ガンダム00ではファングやシールドビット、機動武闘伝Gガンダムのローゼス・ビットなどなど。
SEEDはストライクフリーダムガンダムや暁も重力下ではドラグーンを使用していません。唯一、SEED DESTINYで登場カオスガンダムの機動兵装ポッドだけは地上でも使われていますが、これは設計段階で重力下での飛行を想定し大型のスラスターを搭載している設定。ある意味宇宙世紀ものに近い感じです。
一方、ガンダム00では太陽炉を積んだモビルスーツが使用しており、ファングやシールドビットもGN粒子を利用して飛行しているため、重力下でも特に問題なく利用可能。照準なんかもAIの助けを借りたりしているため、パイロットへの負担も特に大きくはない様子。
最後、ローゼス・ビットが出てくるGガンダムは世界観からして滅茶苦茶なので深く考えない方がいい。ローゼス・ハリケーンッ!
結局のところ、世界観によって使えたり使えなかったりっぽいですね。
にしてもさすがはミノフスキー博士も真っ青の魔法の粉 GN粒子、重力下でもまったく問題なく使用しています。
まだコロニーすらない技術レベルの世界で宇宙世紀以上のイオリアさんパネェっす。
まとめ:ファンネルは重力下でも使えるか
- 地上やコロニー内部など重力下でもファンネルやビットは使えないこともない
- が、宇宙空間に比べ飛行のハードルが高く、本来の性能を引き出せない
- そのため、リフレクター・ビットやファンネル・ミサイルなど重力下でも十分に性能を発揮できるタイプのオールレンジ兵器も開発された