硬派なガンダムファンに人気なグフ

格闘性能の高く、搭乗するパイロットの印象からか泥臭いイメージがあります。が、実はグフ、すごく騎士騎士したモビルスーツなのです。

ドムやギャンなぞ所詮はツィマッド社製、見た目だけ十字軍騎士な偽物。やはりジオニックこそ至高。

グフ:忘れえぬ忠義を貫いたランバ・ラル

一人目は忘れえぬ忠義に戦場を忘れた男、ランバ・ラル大尉。初代機動戦士ガンダムで登場し、主人公アムロが戦士として成長するのに欠かせない役割を果たした武人です。

グフといえばランバ・ラル大尉ですよね。ミスター・グフと言っても過言ではない。なんせガンダム作品で初めてグフに乗って登場したパイロットですから。

ザクとは違うのだよ、ザクとは!

なお、ラル大尉が乗っていたグフはB型の試作機であるYMS-07B。

のちに量産されたMS-07Bと特に大きな違いはありませんが、頭にYがつく試作型とMSVで設定されています。

没落した騎士

彼はジオン共和国の首脳だったジオン・ズム・ダイクンの同士で、ジンバ・ラルの息子。しかしジオンの暗殺により家は没落してしまいます。

ランバ・ラルはドズル・ザビに武人としての矜恃と能力を評価されたことで謀殺されるようなことにはいたりませんでしたが、常に最前線に送られ、ジオン共和国時代に三本指に入るラル家の首領とは思えない扱いを受けることとなりました。

なお、ジオン暗殺の混乱に際し、ランバ・ラルは亡きジオンへの忠義からジオンの忘れ形見であるキャスバル・レム・ダイクンとアルテイシア・ソム・ダイクン兄妹を匿い、父ジンバ・ラルとともにサイド3から脱出させました。

このキャスバルがのちのシャア・アズナブルであり、アルテイシアがセイラ・マスです。

姫さまとの再会

それがなんの因果か、ランバ・ラルが決死の突撃をおこなったホワイトベース内でアルテイシア=セイラと再会。

かつて自身が忠誠を誓ったジオンの姫と戦場で出会い、作中の名言が生まれるわけです。

「アルテイシアと知ってなぜ銃を向けるか!」

「このランバ・ラル、戦いの中で戦いを忘れた!」

まさに戦場が生んだ悲劇。しかし、ランバ・ラルが忠誠を誓っていたのはザビ家が乗っ取ったジオン公国ではなく、あくまでもジオンと彼が夢見た理想。

そういう意味では、誤ってジオンの忘れ形見であるアルテイシアを害することなく散ったことは彼の忠義心にとっては悪くない結果だったと言えるかもしれません。

ランバ・ラルを慕って従った部下たちやハモンは気の毒ですが……

ちなみに、劇場版では本来ランバ・ラルには補給としてドムが配備される予定だったのですが、間に入ったオデッサ司令マ・クベの謀略によってドム配備を握り潰された経緯が描かれています。

シミュレーションゲーム ギレンの野望V アクシズの脅威では、ifストーリーとしてランバ・ラル隊にドム一個小隊を配備することでランバ・ラルがアムロたちに快勝し、ホワイトベース、ガンキャノン、ガンタンクとV作戦の兵器を鹵獲して来てくれる有能ぶりを発揮します。

アムロに負けた際の名セリフ、「見事だな。しかし小僧、自分の力で勝ったのではないぞ!そのモビルスーツの性能のおかげだということを忘れるな」は負け惜しみではなかったのです。

くだらん派閥争いのためにランバ・ラルを見殺しにし、ひいてはジオン敗北を作ったマ・クベとキシリアを許すな。腐れツィマッドの手先め!

グフカスタム:父性と忠誠心、ノリス・パッカード

ノリス・パッカード大佐もまた、姫のためにグフを駆りアイナ姫ため戦った騎士の一人。

OVA作品機動戦士ガンダム 第08MS小隊で登場した武人。

見た目こそ世紀末でヒャッハーな印象ですが、作中ヒロインであるアイナ姫ひいてはサハリン家に忠誠を誓う誇り高い武人。

圧倒的な性能差を持つ陸戦型ガンダムを相手に大立ち回りをした作中きってのエースパイロットでもあります。

彼が乗ったグフ・カスタムはそのまんま、各所の改修によりグフの弱点を克服した機体です。型式はMS-07B-3。

フィンガーバルカンの撤廃と外部火器の導入、ヒートロッドをワイヤー型にするなど、グフの「それって実際の使い勝手的にどうなの?」な装備が刷新されています。

ランバ・ラルにも劣らぬノリス大佐のエースパイロットぶりもあいまって、グフ・カスタムは本家グフを超えるほどの人気を誇る機体となりました。

「父」として、「武人」としての矜恃をかけた勝利

すでに配色濃厚の戦線に、兵には薬品まで投与、反対する友軍は抹殺してまでアプサラス開発を強行する基地司令ギニアス。

兄ギニアスに絶望したアイナは、兵たちをザンジバル級ケルゲレンに乗せて宇宙へ脱出させることを決断します。しかし連邦軍が要所に配置した量産型ガンタンクからの狙撃が予想され、おいそれと飛び立つこともできません。

その状況で、ノリス・パッカードはアイナの決断のため殿軍として、帰還の絶望的な出撃を決心します。

「親代わりのノリスのことなにも知らない」

「自分が……アイナ様の親? 光栄です。決心がつきました」

武人の死場所と勝利

愛機グフ・カスタム MS-07B-03とともに出撃したノリスは、3機の量産型ガンタンク、護衛についた08小隊、Ez-8を含む陸戦型ガンダム3機と対峙。

1vs6の絶望的な状況で08小隊を翻弄。圧倒的なパイロット技量でEz-8を行動不能に追い込み人質にとるに至ります。

しかし戦いの最中、シローのアホな叫びによってアイナの想い人がEz-8のパイロット シロー・アマダと知り動揺。

俺は生きる! 生きてアイナと添い遂げる!

機体を復旧させたがシローとの一騎討ちになりますが、ノリスは向かってきたEz-8には反撃せず、差し違える形で最後の量産型ガンタンクを撃破。同時にEz-8のビームサーベルに機体を貫かれ命を落としました。

ノリスは自身の圧倒的不利な状況で命を犠牲にして障害となる量産型ガンタンクを排除。ジオン将兵撤退の活路を開くと同時に、アイナ姫の想い人の命を守ったのです。

グフ・イグナイテッド:偽りの姫と裏切りの騎士、アスラン・ザラ

宇宙世紀ではなくアナザーセンチュリー、ガンダムSEED DISTINYからも一人、グフに乗り込んだ裏切りの騎士アスラン・ザラもご紹介。

アスランは前作SEEDではプラント最高評議会のザラ議長の息子であり、ザフト軍のエリートパイロット。でしたが、SEED終盤にザフトを裏切りキラたちと行動をともにし、戦争を終結させた英雄でもあります。

その後、偽名を使いオーブにいたアスランですが、続編のSEED DISTINYでオーブを出てザフト軍に復帰し、連合軍・ロゴスとの戦いに邁進します。

彼が乗ったグフはザフトで生産されたグフ・イグナイテッド、ZGMF-2000。もともとは主力MS競争でザク・ウォーリアに負け、少数しか生産されていなかった機体です。

重力下での飛行能力など性能的にはザク・ウォーリアに勝るも、整備性の問題などから正式採用されず、試作機ZGMF-2000XとしてハイネらFAITHなど一部にのみ配備されていました。ハイネの機体はオレンジ色のやつ。

しかし、戦線が広がるにつれて保有MSが減り、特に地上での戦線での飛行能力が評価されて制式採用されることに。アスランはその内の一機を盗み出す形で搭乗しています。ちなみにこのとき型式から試作機を示すXが取れ、青のカラーリングとなりました。

裏切りのエリート アスラン

しかし、ラクスを騙るミーアの登場、アークエンジェルとの敵対によって疑念を持ったアスランは、追われるようにして再びザフト軍から出奔。何回脱走すんだコイツ。

その際、偽りの姫を演じるミーアの身の安全を案じ、ともに逃げようと提案しますが、ミーアは拒否。

アスランは代わりにとばかりに自身を庇ってくれたメイリンを連れ、格納庫のグフ・イグナイテッドに乗り込み逃走。

追撃に出たシンのデスティニーガンダムにグフを撃墜されながらもオーブのキサカ一佐に救出され、メイリンともども辛くも生存。

しかし一度オーブ抜けて「アスラン」に戻ったのにまたオーブに戻るとか、結局なにしたかったんだこの人。

偽りの姫ミーアの末路

その後、本物のラクスが表舞台に立ったことによりラクスを騙っていた立つ瀬が亡くなったミーアは月の都市コペルニクスでの隠遁生活を余儀なくされます。

そんな折、ラクスやアスランらが乗ったアークエンジェルがコペルニクスに入港。ザフトはミーアを餌にラクス暗殺を試みます。

しかし、ラクスやアスランらに説得され改心したミーアは、ラクスをかばって銃弾を受け、死亡するに至ります。

ほかのグフの騎士ランバ・ラルやノリス・パッカードとは違い、結局アスランは最後まで生存。ある意味有能だけど、偽りの歌姫とはいえミーアは犠牲になってるんですよね。

いやアスラン、お前がミーア庇って散れや。

所詮、アスランにとってグフ・イグナイテッドもミーアも腰かけに過ぎなかったか……

つかGTAじゃないんだからさぁ。逃走手段にとりあえずそこにあったMS盗むとか。アスランは本当に手癖が悪いな。